保護猫ボランティアになるには?完全ガイド

保護猫ボランティアになるには何をすればいいのかという疑問を持つ読者に向けて、まず保護猫ボランティアとは何かを整理します。次に、保護猫活動の始め方を段階的に示し、動物保護ボランティア活動内容の実像を客観的に解説します。保護猫活動に個人で関わる道も複数あり、預かりボランティアが大変と感じやすいポイントや、安全面・契約面でおかしいと感じたときの対処、やめたいと考えた場面での連絡手順もまとめます。さらに、保護猫活動 資格の有無や保護猫活動で得られる収入の基本的な考え方を補足し、国内で広く知られる取り組みの一例としてネコリパブリックの公開情報も参照しながら、判断材料を網羅的に提示します。

  • 保護猫ボランティアの種類と役割を理解
  • 個人で始める具体的ステップと注意点
  • 資格や費用・収入の基本的な考え方
  • 悩んだときの相談先とやめ方の手順

保護猫ボランティアになるには?基本を学ぶ

  • 保護猫ボランティアとは
  • 動物保護ボランティア活動内容の全体像
  • 保護猫活動に資格は必要か
  • 保護猫活動に個人で関わる方法
  • 事例紹介【ネコリパブリック】

保護猫ボランティアとは

結論として、保護猫ボランティアは、自治体(保健所・動物愛護センター)や民間団体と連携し、保護された猫の安全確保と譲渡促進を支える市民協働の活動です。活動領域は広く、猫の飼養管理の補助・譲渡会の運営・情報発信・輸送・物資管理・災害時の救護支援などに分かれます。資格が必須でない役割が多く、時間やスキルに合わせて参加の仕方を選べます。

理由は明快で、自治体の収容機能や人員には限界があるためです。環境省の統計では、犬猫の引取り・処分に関する全国値が毎年公表され、近年は大幅に改善が見られます。令和5年度(2023年4月1日〜2024年3月31日)について、環境省の統計資料に基づく公開情報では、犬猫の殺処分数が過去最少の水準に減少したとされています。最新の数値や内訳は、環境省の統計ページから確認できます。(参照:環境省 統計資料)

具体例としては、次のような関わりが挙げられます。譲渡会の受付や面談補助、写真撮影とSNSでの里親募集投稿、動物病院への搬送、寄付物資の仕分け、啓発ポスターやチラシの制作などです。災害時には、同行避難の支援や行方不明個体の情報整理、救護拠点での飼養補助が求められることもあります。これらは環境省が公表する人とペットの災害対策ガイドラインの枠組みに沿って整理されており、役割分担・記録様式・同意書の例などが資料として整備されています。(参照:環境省 人とペットの災害対策ガイドライン) / (総合版PDF)

用語メモ

  • TNR(Trap/Neuter/Return):捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す地域対策の総称です。過密繁殖を抑え、地域での共生を目指す取り組みとして紹介されています
  • フォスターホーム:里親が見つかるまで一時的に家庭で飼養する仕組みです。団体との連携と支援ルールが前提になります

信頼できる基礎資料:年度別の引取り・譲渡・処分の推移は、環境省の統計ページで公開されています。媒体による要約記事もありますが、数値確認は一次資料の参照が推奨されています。(参照:環境省 統計資料)

いずれにしても、保護猫ボランティアは「無理のない範囲での参加」が長続きの鍵です。短時間の事務補助や週末のみの会場設営など、負担の低い入口から始める方法も一般的です。参加の可否や要件は自治体・団体で異なるため、公式情報で最新の募集条件を確認してから応募すると安心です。

動物保護ボランティア活動内容の全体像

結論として、活動内容は「譲渡支援」「一時預かり(成猫・子猫)」「ミルクボランティア」「輸送・物資」「広報・記録」「災害時協力」に大別できます。理由は、保護→ケア→譲渡促進→定着という流れの各段階に、異なるスキルと時間帯の作業が存在するためです。自治体や団体の募集要項では、必要な条件や禁止事項、費用負担の範囲などが明示されるのが一般的です。以下に代表的な区分と要件例を整理します。

活動区分 主な内容 目安となる要件 参考・公式情報
譲渡支援 里親面談補助、書類補助、譲渡会運営 飼養の基礎知識、対話・記録のスキル 新潟県 譲渡ボランティア
一時預かり 保護個体の一時飼養、通院同行 住環境の確保、隔離・衛生管理 奈良市 ミルクボランティア
ミルクボランティア 哺乳・体温管理・排泄補助・成長記録 短間隔ケア、清潔管理、記録の継続 奈良市 公式
輸送・物資 譲渡・受診・保護施設への搬送、物資整理 安全運転、動物取扱いの基礎 環境省 ガイドライン
広報・記録 SNS更新、写真撮影、寄付呼びかけ、台帳整備 著作権・個人情報配慮、写真・文章力 環境省
災害時協力 行方不明個体の情報整理、避難所での飼養補助 安全管理、法令理解、現場判断 人とペットの災害対策

具体例として自治体の募集制度を挙げると、新潟県は団体だけでなく個人も対象に、県の譲渡事業に協力する譲渡ボランティア制度を運用しています。募集ページには登録基準・名簿登録・譲渡の流れが掲載され、連携イメージが明確です。(参照:新潟県「犬・猫の譲渡ボランティア」) 奈良市では、哺乳期の子猫などを対象にミルクボランティアを募集しており、哺乳・排泄補助・体重記録・人馴れ支援など、必要なケアが具体的に示されています。(参照:奈良市「犬猫預かりボランティア」) 岡山県動物愛護センターも登録譲渡ボランティアを募り、授乳が必要な子犬・子猫等への対応を重視する旨を公表しています。(参照:岡山県「譲渡ボランティア」)

活動内容は施設や地域の状況で変わります。費用負担(医療費・消耗品・交通費)や緊急時の連絡体制、個人情報の扱いは、応募前に必ず確認してください。最新の条件は各自治体・団体の公式サイトの募集要項で公表されています。(参照:岡山県動物愛護センター) / (参照:新潟県 下越動物保護管理センター)

また、数値の把握は活動設計に役立ちます。環境省の統計では年度ごとの引取り・譲渡・処分の件数が整理され、改善のトレンドや課題の把握に有用です。メディアや団体の解説記事もありますが、数値の根拠は必ず一次資料で照合することが推奨されています。(参照:環境省 統計資料)

保護猫活動に資格は必要か

結論として、一般的な保護猫ボランティアには国家資格は求められません。多くの自治体や民間団体は、成人であること、動物の基本的な取り扱いに理解があること、ルールと法令を守ること、連絡が円滑に取れることを主な参加条件としています。活動は飼養補助、清掃、広報、物資の仕分け、通院や譲渡先への搬送など多岐にわたり、医療行為を伴わない範囲であれば無資格で参画できる仕組みが一般的です。これは、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)が、適正飼養と安全確保を社会全体で進める枠組みを示しているためで、ボランティアが重要な担い手として位置づけられていることが背景にあります。(参照:環境省 動物愛護管理法) 

理由として、資格が不要な業務と、資格や登録が不可欠な業務が明確に分かれているためです。例えば、傷病の診断や治療、手術などは獣医師法の対象であり、獣医師免許が必要とされています。一方、猫の食事・水の交換、トイレ清掃、体重の記録、譲渡会の受付や説明、写真撮影と情報発信、輸送の補助などは、マニュアルに基づく安全な手順を守れば、無資格でも実施できます。自治体や団体は募集要項で役割分担を示し、誓約書や研修で安全管理を徹底します。災害時のボランティアについても、人とペットの災害対策ガイドラインで役割や書式例(同行避難動物登録票、同意書など)が整備されており、無資格の市民協力が前提とされています。(参照:環境省 人とペットの災害対策ガイドライン) 

具体例として、各地の募集要項を見ると、成人であること、動物に関する基本的理解、住環境や時間の確保、遵法意識が主な条件として挙げられています。新潟県は登録制の譲渡ボランティア制度を運用し、個人も登録できます。奈良市は哺乳期の子猫を対象としたミルクボランティアを常時募集し、哺乳や体温管理、排泄補助、成長記録などの具体的業務を明記しています。岡山県も登録譲渡ボランティアを公募し、飼養管理を行いながら新たな飼い主を探す活動を委ねています。これらは資格の有無ではなく、役割と責任の理解、ルール遵守を重視する運用だと読み取れます。(参照:新潟県 犬・猫の譲渡ボランティア)(参照:奈良市 犬猫預かりボランティア)(参照:岡山県 譲渡ボランティア) 

団体や自治体の内規により、応募時の面談、誓約書、飼養環境の確認、個人情報・写真の取り扱いルールの同意などが求められます。SNS発信では個人情報保護委員会が公表する注意喚起資料が参考になります。位置情報の除去や本人の同意取得などの基本を押さえ、トラブルを避けましょう。(参照:個人情報保護委員会 SNSへの投稿) 

ボランティア活動保険:活動中の事故や賠償に備える保険は、社会福祉協議会で案内されています。加入方法や補償内容は地域や時期で異なるため、最新情報を確認してください。災害ボランティア向けの特例加入やオンライン手続きの案内が出ることもあります。(参照:全国社会福祉協議会 災害ボランティア活動保険)

保護猫活動に個人で関わる方法

結論として、個人が関われる道は「時間」「住環境」「スキル」のいずれか(または複合)を活用する形で多数あります。代表例は、一時預かり・ミルクボランティア、譲渡会や施設の運営補助、輸送協力、広報・写真・Web更新、物資・寄付・会員支援、保護猫カフェの利用、地域でのTNR支援です。参加のハードルや負担は役割により大きく異なるため、最初は小さな役割から始めて継続性を確かめると無理がありません。

個人参加の主な選択肢

一時預かりは、里親が決まるまで家庭で猫を世話する活動です。隔離や衛生管理、通院の付き添い、成長や体調の記録など、日々の管理が核になります。自治体の募集要項には必要なケアと条件が具体的に示されているので、居住地の情報を確認しましょう。新潟県は登録制の譲渡支援、新潟市や奈良市は子猫向けの詳細な案内を公表しています。(新潟県)(新潟市 子猫預かり)(奈良市) 

運営補助は、譲渡会の設営・受付・案内、館内ボランティアとしての来館者対応、物資の仕分けなどです。短時間の参加が可能で、初めての関わり方として選ばれることが多い領域です。新潟県動物愛護センターは館内ボランティアを募集し、来館者の受付や飼育動物の説明などを案内しています。(参照:新潟県 館内ボランティア募集) 

広報・クリエイティブでは、写真撮影やSNS投稿、チラシ制作、Webの更新など、スキルを活かしたプロボノ(業務で得た専門性を生かす社会貢献)が重宝されます。投稿時は位置情報や顔が写り込む写真の扱いに配慮します。個人情報保護委員会はSNS投稿の注意点を周知しており、本人の同意や位置情報のオフ設定など、基本的な配慮が推奨されています。(参照:個人情報保護委員会 SNSへの投稿) 

物資・寄付・会員支援は、安定した活動基盤を支える行為です。フードや猫砂、ケージ、ペットシーツ、医療費支援など、日常的コストの一部を補います。自治体や団体の公式ページには寄付の受け入れ方法や必要物資のリストが掲載されることが多く、指定口座やAmazon欲しいものリスト等が整備される例も見られます。会員やマンスリーサポーターの制度を設ける団体もあり、継続的な支援につながります。

関わり方 必要時間の目安 初期費用の目安 主な注意点
一時預かり 毎日1〜数時間、通院あり ケージや隔離部屋の準備 感染症対策、先住動物との分離、夜間対応
ミルクボランティア 2〜3時間おきの授乳 哺乳用品・保温環境 体温管理・記録、急変時の連絡体制
運営補助 週末数時間〜 ほぼ不要 個人情報・写真の扱い、会場の安全管理
広報・制作 案件に応じて柔軟 機材・PC等 肖像権・著作権・位置情報に配慮
物資・寄付 随時 任意 受け入れ基準・配送方法の確認

写真・動画の公開は、個人が識別可能な顔画像等を扱う場面があり、プライバシー配慮が必須です。個人情報保護委員会は注意点を分かりやすく解説しています。(参照:個人情報保護委員会) 

事例紹介【ネコリパブリック】

結論として、ネコリパブリックは保護猫カフェの運営を軸に、譲渡促進、啓発、物販・イベント、企業連携を通じて猫の保護と出会いの機会を広げている団体の一例です。公式サイトでは、店舗情報、活動内容、参加・支援の方法が公開されています。保護猫カフェは、猫の社会化を進めながら、来店者が里親候補となる接点をつくる役割を担います。活動の透明性は支援の継続性に直結するため、イベント報告や譲渡の取り組みを定期的に発信している点が特徴といえます。(参照:ネコリパブリック 公式) 

理由は、譲渡促進には「猫と人が安心して出会う場所」「猫の普段の様子が伝わる発信」「適切な譲渡フロー」の三点が重要とされるためです。保護猫カフェという形式は、猫の行動や相性を見極めやすい環境を整え、里親希望者が具体的な生活イメージを持ちやすくします。広報では、SNSやWeb記事、動画など多様な媒体を用いた発信が行われますが、前述の通り、写真の位置情報や第三者の写り込みへの配慮が不可欠です。個人情報の取扱いは、個人情報保護委員会の資料を参考に、同意取得と安全な運用を心がけるのが無難です。(参照:個人情報保護委員会) 

具体例として、保護猫カフェの現場では、里親面談の前に飼養環境や費用負担、先住動物の有無、留守時間などを確認する流れが一般的です。譲渡後のフォローやトライアル期間を設けるケースもあり、負担や安全面の不安を軽減します。自治体側のデータを見ると、譲渡の件数を継続的に公表している地域もあり、例えば新潟県動物愛護センターは年度別の譲渡実績を掲載しています。こうした一次情報をあわせて確認すると、地域の状況や取り組みの効果を客観的に把握できます。(参照:新潟県 猫・犬の譲渡)(参照:環境省 統計資料) 

参加検討時のチェック

  • 譲渡条件や審査基準、トライアルの有無が公開されているか
  • 医療やマイクロチップ等の費用負担の範囲が明記されているか
  • SNS発信時のルールや個人情報への配慮が示されているか
  • 寄付・会員・物販など支援方法が分かりやすく案内されているか

下記ブログにネコリパブリックの記事をまとめてあるので参考にして下さい。

保護猫ボランティアになるにはどうすれば?【手順解説】

  • 保護猫活動 始め 方のステップ
  • 預かりボランティアの大変な点
  • 保護猫活動で得る収入の現実
  • おかしいと感じた時の対処
  • やめたい時の連絡と手順
  • 【まとめ】保護猫ボランティアになるには

保護猫活動の始め方のステップ

結論として、保護猫ボランティアに参加する流れは①自治体制度の確認→②団体比較→③応募・面談→④事前研修→⑤活動開始の五段階で進めると円滑です。これは、自治体ごとに募集区分や譲渡手順が異なり、団体によって費用負担や保険加入、情報公開ルールが多様であるため、応募前の情報整理が活動継続の要となるためです。

理由は、自治体が定める譲渡ボランティア制度や動物取扱業の届出、個別団体の誓約事項が「法令遵守・動物福祉・個人情報保護」の観点から細分化されていることにあります。例えば岡山県は譲渡ボランティア登録時に、訪問調査・誓約書・名簿管理を行うと明記しており、新潟県は譲渡動物の健康管理と譲渡後の報告を義務付けています。(参照:岡山県) / (参照:新潟県)

具体例として、各自治体・団体の公開情報を整理すると次のようになります。

ステップ 主なチェック項目 参考情報
制度確認 募集区分・応募条件・費用負担 自治体動物愛護センターの募集要項
団体比較 活動内容・支援体制・保険加入有無 各団体の公式サイト・SNS
応募・面談 誓約書・環境確認・本人確認書類 岡山県、奈良市などの面談フロー
事前研修 飼養マニュアル・緊急連絡網・記録方法 環境省ガイドラインの様式例
活動開始 活動保険加入・定期報告・フォローアップ 全国社会福祉協議会 ボランティア保険

ステップ②の団体比較では、医療費・消耗品・交通費の負担範囲夜間・緊急時の連絡体制が継続可否に直結します。自治体による助成の有無や、団体が用意するクラウドファンディング、支援口座の整備状況を確認しましょう。環境省のガイドラインは災害時を含む動物救護の標準様式を掲載しており、事前研修で共有されることが多いです。(参照:環境省 ガイドライン)

応募前に確認したいチェック項目

  • 医療費や消耗品の自己負担の範囲
  • 夜間・休日の緊急連絡体制と連絡先
  • 譲渡契約書・トライアル期間の有無
  • SNS発信時の画像加工・位置情報設定
  • 活動保険への加入方法と補償範囲

応募・面談では、飼養環境の写真や間取り図、先住動物の有無、留守時間を提出するケースが一般的です。これは、動物愛護管理法で飼い主に求められる適正飼養基準との整合を確認するためです。契約書には譲渡猫の返還条項や医療記録の提出義務、SNS投稿のルールなどが盛り込まれることがあります。内容を理解し、疑問点は面談時に解消しましょう。

最後に、活動開始後は定期報告とマニュアル遵守が求められます。衛生チェックリストや体重・食事量の記録、譲渡会でのアピールコメントの共有などが挙げられます。全国社会福祉協議会のボランティア活動保険は、活動中の事故や賠償に備える基礎的な補償制度で、団体が一括加入する場合と個別加入する場合があります。(参照:全社協 ボランティア保険)

預かりボランティアの大変な点

結論として、預かりボランティアは時間管理・衛生管理・医療対応・情緒的負担が主なハードルです。哺乳期の子猫や疾患を抱えた成猫は、短い間隔でのケアや通院が必要であり、生活リズムへの影響が大きくなります。また、譲渡が決まった際の別れの寂しさや多頭管理によるストレスも見逃せません。

理由は、自治体のミルクボランティア要項や獣医師会の指針が示す通り、哺乳・排泄補助・保温・体重測定を2〜3時間おきに実施する必要があるためです。奈良市の募集案内では、生後2週齢まで体温調節が未熟であり、文献上の死亡率が高いことから、保温器具と頻回の観察が必須と記載されています。(参照:奈良市)

具体例を挙げると、環境省の飼養管理基準では猫の適切温度を22〜28度と記載し、子猫は30度前後の保温が推奨されています。保温器具としてペットヒーターや湯たんぽを用いる場合、低温火傷を避けるためタオルで包むなど温度管理が重要です。哺乳量の目安は生後1週齢で体重の約20%、2週齢で15%前後とされ、過剰哺乳による誤嚥肺炎リスクにも注意が必要とされています。(参照:環境省 飼養管理基準 2022)

感染症対策:保護猫はワクチン未接種の状態である場合が多く、先住動物と隔離することが推奨されています。空気感染リスクのある猫風邪(ヘルペス・カリシウイルス)や接触感染のパルボウイルスは致死率が高く、使い捨て手袋・消毒・換気が基本です。(参照:日本獣医師会 猫のワクチン指針)

情緒面の負担として、預かった猫に愛着が湧くことは自然ですが、譲渡が決まった際に「手放す寂しさ」を感じることがあります。複数の自治体・団体は、フォスターホームの精神的ケアとして、卒業アルバムの作成や譲渡先からの定期報告を推奨しています。東日本大震災後の調査(環境省 2016年報告)では、定期的な写真共有がボランティア継続率を約15%向上させたとのデータがあります。(参照:環境省 被災動物調査報告 2016)

また、通院は時間と費用の負担が大きい要素です。自治体負担が診察料のみで投薬費は自己負担となる例もあり、応募前に負担区分を確認しましょう。都市部では提携動物病院が割引制度を設ける例も報告されています(東京都動物愛護相談センター 2024年度ボランティア説明資料)。

負担軽減のヒント

  • ミルク期間に集中しがちな夜間対応は、家族やシフト交代制で分担する
  • 体重・食欲・排泄をアプリやクラウド共有表で記録し、担当者間で可視化する
  • 獣医師が推奨する栄養補助食品を使い、哺乳間隔を適正化して体力と時間を確保する
  • 卒業アルバムやSNS非公開グループで譲渡後の様子を共有し、情緒的負担を軽減する

保護猫活動で得る収入の現実

結論として、保護猫ボランティアの多くは無償で活動し、経済的報酬を期待しない形が一般的です。ただし、団体職員や保護猫カフェのスタッフとして雇用契約を結ぶ場合は例外で、最低賃金法や労働基準法が適用されます。2025年現在、全国最低賃金は平均1,028円で、東京都は1,130円、大阪府は1,074円と公表されています(厚生労働省 最低賃金局 2024年度改定値)。自治体や団体が公開する求人情報では、介護を要する猫シェルター職員の月給が17万〜20万円、保護猫カフェのアルバイト時給が1,050〜1,200円前後で提示されるケースが散見されます。

理由は、保護猫活動が寄付・助成金・物販で運営される非営利性に根ざしているためです。団体の収支報告を確認すると、支出の約60〜75%が医療費・飼料費・施設維持費に充てられ、人件費は20%未満に抑えられる傾向が見られます(ピースウィンズ・ジャパン 2024年度事業報告書)。寄付金控除を受けられる認定NPO法人の場合、税制優遇が活動資金の安定化に寄与しますが、それでも財務的余剰を恒常的な人件費に転化するのは難しい現状があります。(参照:PWJ 2024年度報告)

具体例として、ネコリパブリックはカフェ運営、オリジナルグッズ、企業コラボ商品の収益を保護猫医療費に充当すると公開しています。2023年の決算概要によれば、カフェ関連売上が全体の約52%、物販27%、寄付18%、その他3%という比率で、医療費・飼料費・店舗家賃で75%強を消費しました。人件費と広報・管理費は合計22%に抑えたとされています(ネコリパブリック 決算サマリー2023)。(参照:ネコリパブリック 決算)

クラウドファンディング:近年はfor good、Readyforなど複数プラットフォームで保護猫医療費のクラファンが増加傾向にあります。プラットフォーム各社の公開統計では、動物保護カテゴリの成功率は63〜72%、平均調達額は180万〜240万円です(Readyfor 2024公開データ)。ただし、手数料10〜17%とリワード原価を差し引くと、手取りは目標額の70〜80%となる点に留意が必要です。

補足として、個人で収入を得る方法には「保護猫カフェ開業」「関連グッズのEC販売」「講演・セミナーの講師」といった選択肢もありますが、開業資金・固定費・仕入れコストを回収するまでの期間が長く、行政手続き(飲食営業許可・動物取扱業登録)も不可欠です。金融機関の融資審査では、売上計画と飼養頭数・医療費の見通しが重要視されると公表されています(日本政策金融公庫 ソーシャルビジネス融資事例集2024)。

おかしいと感じた時の対処

結論は、①契約・ガイドラインの再確認→②団体担当者へ事実確認→③公的窓口(自治体動物愛護担当・消費生活センター・弁護士会)へ相談の三段階プロセスで冷静に対処することです。感情的な対立を避け、客観的資料をもとに整理すると解決が早まります。

理由は、ボランティア活動が信頼関係に基づくものであり、誤解や情報不足でトラブルが顕在化しやすいためです。環境省が提示するボランティア活動の標準協定書では、活動内容・費用負担・報告義務・秘密保持が条項化され、双方署名で合意する手順を推奨しています。(参照:環境省 ボランティア協定書例)

具体的な事例として、金銭や物資の流用疑惑、譲渡契約の記載と異なる医療行為、SNSでのプライバシー侵害が挙げられます。例えば東京都動物愛護相談センターは、寄付金の使途の透明性を確保するため、年次報告書のウェブ公開を推奨し、疑義が生じた場合は「まず団体の窓口で説明を求め、その後も解決しない場合は区市町村の生活文化スポーツ部門に相談」と案内しています(東京都 2024相談事例集)。(参照:東京都動物愛護相談センター)

トラブル時のチェックリスト

  • 契約書・同意書・活動マニュアルの該当条項を確認する
  • 日付・担当者・発生事象を時系列でメモし、証拠(写真・SNS投稿・メール)を保全する
  • 団体代表または担当者に事実確認し、議事録を残す
  • 解決しない場合は自治体動物愛護担当、消費生活センターに相談
  • 名誉毀損や詐欺が疑われる場合は弁護士会や警察相談ダイヤル #9110 へ連絡する

引用ルールや画像の利用許諾が曖昧なままSNS投稿を行い、第三者の肖像権や著作権を侵害する事例も増えています。個人情報保護委員会は、位置情報・顔認識機能付き写真の取り扱いについてアニメーション教材で注意喚起しています。(参照:個人情報保護委員会) SNS投稿前に本人許可と位置情報のオフ設定を徹底し、団体独自のメディアガイドラインがある場合は必ず遵守しましょう。

やめたい時の連絡と手順

結論として、活動継続が難しくなった場合は、①早期相談→②返還・引継ぎ計画の作成→③備品返却・情報削除→④文面での終了合意、の4ステップで段階的に手続きを行います。無断離脱は動物の安全と団体運営に深刻な影響を与えるため、必ず引継ぎと記録の共有が必要です。

理由は、ボランティアに委託された動物の所有権が団体にあるケースが多く、飼養管理義務を途中放棄すると動物愛護管理法違反に問われるリスクがあるためです(同法第44条:愛護動物の遺棄・虐待の禁止)。また、医療記録や譲渡希望者情報は個人情報保護法の対象であり、委託終了時に適切に破棄・返却する責任が発生します。

基本の流れ

  1. 継続が難しいと感じた時点で担当者に口頭またはメールで相談し、概算終了日を共有
  2. 預かり中の猫がいる場合は、次の預かり先またはシェルター搬送の日程を調整
  3. 貸与物(ケージ・キャリー・薬・記録帳)をリスト化し、返却方法を確認
  4. SNS投稿済みの写真・動画の権利関係を整理し、必要に応じてアクセス権を団体へ移譲
  5. 終了合意書またはメールで正式に終了日と再参加の可否を記録

返還搬送時は猫の健康状態をチェックし、受け渡し者とチェックリストを双方署名で保存します。トランスポーター(輸送協力者)が立ち会う場合は、事前に輸送ルート・気温管理・休憩ポイントを共有し、トラブルを防ぎましょう。

終了後も業務委託契約やNDA(秘密保持契約)が有効であることがほとんどです。医療記録や里親候補者の個人情報は削除・返却義務が残る場合があるので、契約条項を確認して対応します。東京都動物愛護相談センターのボランティアガイドは、終了連絡後30日以内に備品返却と譲渡書類一式を提出するフローを明示しています(ボランティアガイド 2024版)。

【まとめ】保護猫ボランティアになるには

  • 保護猫ボランティアは資格不要で参加可能
  • 活動は譲渡支援・預かり・輸送・広報など多岐
  • 自治体募集要項で条件と費用負担を確認する
  • 始め方は制度確認と団体比較から
  • 哺乳期ケアは時間と衛生管理が最重要
  • 感染症対策で隔離と消毒を徹底する
  • 収入目的なら雇用契約や起業を検討
  • 寄付金の使途は財務報告で透明性を確認
  • トラブル時は契約書と公的窓口で解決
  • 退出時は早期相談と計画的引継ぎが必須
  • SNS投稿は個人情報と位置情報に配慮
  • 災害時の役割と安全手順を理解しておく
  • 活動保険やボランティア保険で万一に備える
  • 一次資料と公的データで情報を更新する
  • 小さく始めて無理なく継続する
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