
こんにちは。わんにゃんらいふ、運営者のヒロです。
ブリーダーから犬の売れ残りを迎えたい、ブリーダーの元にいる売れ残った子犬や引退犬を里親として迎えたい、そんなふうに考えて検索してくれたあなたも多いと思います。あわせて、ペットショップで売れ残った犬はどうなるのか、里親募集や譲渡会での引き取りは本当に安全なのか、無料で引き取れるケースや、逆に怪しい引き取り業者がいないかなど、気になることがたくさんありますよね。
インターネット上には、ブリーダーで売れ残った犬の里親募集、成犬になった売れ残りの引き取り、子犬を譲ります無料という言葉、ペットショップの売れ残りと殺処分の関係など、センシティブな話題がいろいろ飛び交っています。そのぶん、「かわいそうだから助けたい」という気持ちと、「本当にうちで飼って大丈夫かな」という不安の両方を抱えやすいテーマかなと思います。
この記事では、ブリーダーで売れ残った犬や引退犬が生まれる背景と現状、ペットショップや保護団体を含めた主な引き取りルート、実際に迎えるときのメリットと注意点、トライアルや終生飼養を考えるうえでのポイントまで、できるだけ具体的に整理していきます。読み終わるころには、「売れ残りだから不安」ではなく、「この子と自分の生活が合うかどうか」で判断できるようになるはずです。一緒に整理していきましょう。
- ブリーダーの犬が売れ残る背景と業界の仕組み
- 売れ残りや引退犬を迎える主なルートと流れ
- 売れ残り犬を迎えるメリットとデメリット
- 後悔しないためのチェックポイントと考え方
ブリーダーで売れ残った犬とは?現状と背景

まずは、ブリーダーから犬の売れ残りを迎える前に、「そもそも売れ残りってどんな犬のこと?」というところから丁寧に整理していきます。ここをふわっとしたままにしてしまうと、かわいそう・安いからという感情だけで動きやすくなってしまうので、少しだけ業界の裏側や仕組みにも目を向けてみましょう。
この章では、売れ残りと呼ばれる犬の具体的なイメージ、犬種ブームと過剰繁殖の関係、悪質ブリーダーやブリーダー崩壊のリスク、ペットショップや引き取り業者との関わりなど、全体像をざっくりつかんでもらうことをゴールにしています。
売れ残りと呼ばれる犬はどんな子なのか

一般的に「売れ残りの犬」と言われるのは、次のような子たちです。
- ブリーダーが販売用として繁殖したものの、買い手がつかなかった子犬
- ペットショップに並んだものの、売れる時期を過ぎた犬
- 繁殖を引退した、いわゆる引退犬や引退猫
日本では、生後56日未満の子犬・子猫は販売できないため、ペットショップに出るのは多くが生後2か月以降です。そこから2〜3か月ほどが「一番売れやすい時期」と言われ、そのタイミングで新しい飼い主が決まらなかった子が、徐々に売れ残りと呼ばれるようになります。さらに、店頭から姿を消したあと、バックヤードで様子を見ながら値下げされ、それでも決まらなかった子が、保護団体や里親募集へと回っていくことも多いです。
ブリーダーの元にいる売れ残りの子も、基本的な構造は同じです。兄弟犬たちは早い段階で新しい家族が決まったのに、たまたまタイミングが合わなかったり、毛色や性格の印象で選ばれにくかったりして、そのまま残ってしまうケースがあります。「兄弟の中で少し控えめな性格だった」「人見知りが強くて、見学に来た人の前で緊張してしまった」など、人間と同じで、性格が少し内向きなだけだったりもします。
引退犬の場合は、繁殖犬としての役目を終えた子です。年齢や体力のことを考えてこれ以上の繁殖をやめ、一般家庭でのんびり暮らしてほしい、という思いから里親募集に出されることもあります。「売れ残り」と一括りにされがちですが、子犬の売れ残りと、引退犬や保護犬では背景も性格もかなり違うので、このあたりを区別して考えてあげると、ぐっと見方が変わってくるはずです。
ただ、ここで覚えておいてほしいのは、売れ残りという言葉はあくまで人間側の都合のラベルであって、犬自身の価値とは関係がないということです。見学のタイミングや価格設定、店舗の立地、スタッフの説明の仕方など、さまざまな要因で「たまたま選ばれなかった」だけの子もたくさんいます。なので、「売れ残りだから何か問題があるのでは?」と構えるよりも、「たまたまご縁が遅れているだけかも」という目線で見てあげるといいかなと思います。
実際に私の周りでも、売れ残りだった子を迎えた方から「想像以上にいい子だった」「人懐っこくて家族全員の癒やしになっている」という話をよく聞きます。あなたがこの記事を読んで、こうして知ろうとしていること自体が、すでに一つのご縁の始まりかもしれません。
ブームと過剰繁殖が生む「売れ残り」の構造

ブリーダーやペットショップで犬が売れ残る大きな理由の一つが、特定の犬種ブームと過剰繁殖です。ここ、かなり重要なポイントなので少し丁寧に掘り下げますね。
テレビドラマやCM、人気タレントさんのSNSなどで特定の犬種が取り上げられると、「この犬種かわいい!うちでも飼ってみたい」という人が一気に増えます。すると、ブリーダー側は「今はこの犬種が売れ筋だ」と判断し、繁殖頭数を増やしやすくなります。ペットショップも同じで、「流行の犬種を置いておかないとお客さんが来てくれない」というプレッシャーから、多めに仕入れることが多くなります。
ところが、ブームは必ずどこかで落ち着きます。数か月〜1年ぐらい経つと、別の犬種が話題になったり、そもそもペット需要自体が一時的に落ち着いたりします。そうなると、市場全体に「ブームがピークだった頃に生まれた子犬」が大量に残ってしまい、結果的に売れ残りが増えていく、という構造ができあがってしまうんです。
さらに、人気犬種ほど、色や毛質、顔立ちなど「よりかわいく見えるポイント」にこだわって繁殖されがちで、その分「いわゆる売れ筋の見た目」に当てはまりにくい子が、選ばれにくくなってしまうこともあります。例えば、兄弟の中で少し鼻が長い、柄が左右で非対称、ちょっとビビりな性格でアピールが苦手…こういう子は、どうしても後ろのほうに回されてしまいやすいんですね。
もちろん、すべてのブリーダーがこうした「ブーム頼みの繁殖」をしているわけではなく、頭数を絞り、親犬の健康や性格もしっかり考えたうえで計画的に繁殖しているところもたくさんあります。ただ、市場全体として見ると、「需要が読みきれずに過剰繁殖してしまう」という構造的な問題が、売れ残りを生む大きな要因になっているのは事実です。
あなたがもし「特定の人気犬種を迎えたい」と考えているなら、
- 流行に乗っているだけのショップ・ブリーダーではないか
- 親犬の頭数や繁殖回数がきちんと管理されているか
- 見学に行ったとき、犬たちが無理をしていそうに見えないか
といった視点で、少し一歩引いて見ることも大切かなと思います。売れ残りを減らすという意味でも、「自分のライフスタイルに合うか」という視点を大事にしつつ、本当にその犬種である必要があるのか、改めて考えてみるのもおすすめです。
悪質ブリーダーとブリーダー崩壊のリスク

すべてのブリーダーが悪いわけではありません。むしろ、本当に犬が好きで、頭数を抑えながら丁寧に育てている小規模なブリーダーさんもたくさんいます。ただ、その一方で、利益を優先しすぎてしまう「悪質ブリーダー」が存在するのもまた事実です。ここは少し耳が痛いかもしれませんが、売れ残り犬を考えるうえで避けて通れない部分なので、一緒に押さえておきましょう。
悪質な場合は、
- 狭いケージに多頭飼育されている
- 排泄物の掃除や換気が追いつかず、常に強いニオイがしている
- 目や耳の汚れ、毛玉など、お手入れが明らかに行き届いていない
- 妊娠・出産のサイクルが短すぎる(メスの体力が回復する前に次の交配)
といった状況になっていることがあります。こうした現場では、当然ながら親犬の健康状態も悪化しやすく、産まれる子犬の体力や免疫力にも影響が出やすくなります。その結果、病気がちだったり、体が弱くて売れ残ってしまう子が増えてしまうこともあります。
さらに、頭数と費用・人手のバランスが崩れると、いわゆるブリーダー崩壊が起こります。ブリーダー一人では世話しきれない頭数にまで増えてしまい、最終的に保護団体や自治体が大量の犬を引き取らざるを得ない状況になってしまうケースです。このとき、売れ残っている犬や引退犬、繁殖に使えなくなった犬が一気に行き場を失います。
ブリーダーの元にいる犬の売れ残りを迎えるときは、
- 見学時に犬たちの表情や毛並みが健康的か
- ケージや部屋の匂い・汚れ具合はどうか
- 質問に対して正直に説明してくれるか、言葉を濁さないか
- 親犬も見せてくれるか(見せてもらえない場合は要注意)
といった部分をよく観察してみてください。もし、あなたが「この環境はさすがにきついな…」と感じるなら、その直感はかなり当たっている可能性が高いです。
関連情報
ペットショップ側の売れ残り対応や、譲渡制度の実態を知っておきたい方は、ペットショップ業界全体の売れ残り問題にも触れているペットのコジマの売れ残り不安と里親制度の解説記事も参考になると思います。ショップ側が売れ残りとどう向き合っているかを知ることで、ブリーダーとの比較もしやすくなりますよ。
ペットショップの売れ残りと引き取り業者の問題

ブリーダーから出荷された犬は、多くがペットショップを経由して一般の飼い主の元に行きます。その過程で売れなかった犬は、
- 値下げをして別の店舗に移動する
- 保護団体や譲渡会に回される
- ブリーダーの元に戻る
といったルートをたどることがあります。お店によっては、売れ残りの犬や猫を対象にした「里親募集コーナー」や「譲渡制度」を用意しているところも増えてきました。
一昔前までは、売れ残りを保健所にそのまま持ち込むケースもありましたが、法律の改正によって行政が業者からの引き取りを断れるようになり、状況は少しずつ変わってきています。ただし、「じゃあ今は安心か」というと、そう簡単な話でもないのが難しいところです。
近年問題視されているのが、「引き取り業者」と呼ばれる存在です。これは、ペットショップやブリーダーから有料あるいは無料で犬猫を引き取り、その後別ルートで販売したり、繁殖に利用したりする業者のことを指します。中にはきちんとした飼養環境を整えているところもあるかもしれませんが、
- 繁殖に利用できない個体を劣悪な環境で放置する
- 高齢や病気の個体に十分な医療をかけない
- 一般の里親募集サイトを装って再度譲渡・販売する
といった、倫理的に大きな問題のあるケースも報告されています。
犬や猫の引取り・処分数の全体像については、日本全国の自治体からの報告を基にした統計資料が環境省から公表されています。たとえば、行政がどれくらいの数の犬猫を引き取り、どれくらいが返還・譲渡・殺処分となっているのかは、環境省自然環境局の統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」で毎年度確認することができます(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」)。
こうしたデータを見ると、殺処分数は年々減ってきているものの、「引き取られている頭数自体はまだかなり多い」「安定した飼い主が見つからずに行き場を失う命は今もある」という現実も見えてきます。数字をゼロにするのは簡単ではありませんが、少なくとも私たち一人ひとりが「目の前の一匹とどう向き合うか」を考えることで、少しずつ状況は変わっていくはずです。
数値や制度について
殺処分数や引き取りのルールは自治体や時期によって変わることがあります。ここでの説明はあくまで一般的な傾向や公開情報をもとにした目安です。最新かつ正確な情報は、各自治体や環境省などの公式サイトを必ず確認してください。個別のケースについて判断に迷う場合は、動物愛護センターや獣医師など専門家への相談をおすすめします。
ブリーダーの元にいる犬の売れ残りを迎える方法と注意点

ここからは、実際にブリーダーの売れ残り犬や引退犬、元ペットショップの売れ残り犬を家族に迎える具体的な方法と、チェックしておきたいポイントを整理していきます。同じ「売れ残り」と言っても、ペットショップ経由、保護団体経由、ブリーダー直接など、ルートによって流れも条件もけっこう違うので、そのあたりも分かりやすく比べていきますね。
「かわいそうだから助けたい」という気持ちはとても大事ですが、あなたの生活や性格、家族の状況と合うかどうかも同じくらい大事です。この章を読みながら、「自分にはどのルートが現実的かな?」とイメージしてもらえたらうれしいです。
ペットショップから売れ残りの犬を迎える場合

まずは、ペットショップを通じて売れ残った犬を迎えるパターンから。街でよく見かけるルートなので、あなたにとっても一番イメージしやすいかもしれません。店頭に長くいる子や、バックヤードにいる月齢の高い子、譲渡犬として紹介されている子などが対象になります。
店員さんに「成長した子」を確認する
店頭に並んでいるのは、いわゆる「売れどき」の子犬が中心です。売れ残った犬や月齢の高い子は、一般のお客さんの目につきにくい場所にいることも多いので、
- 成長してきた子や月齢が高めの子はいますか?
- 譲渡対象の犬はいますか?
といった形で、遠慮なく聞いてみてください。「実はこの子が…」と、バックヤードに案内してくれることもありますし、別店舗にいる子の情報を教えてくれる場合もあります。
その際、ガラス越しだけで判断せず、できれば抱っこやふれあいもさせてもらいましょう。抱っこが苦手な子もいますが、
- 体を触ったときの反応(ビクビクしすぎていないか)
- 目の輝きや毛並み、体つき
- 人に対する興味の持ち方
などを、なんとなくでいいので感じ取ってみてください。ここは「正解を探す」より「違和感がないか」をチェックするイメージで大丈夫です。
値下げや譲渡条件、追加費用を必ず確認
売れ残りの犬は、通常価格から大きく値下げされていたり、譲渡犬として「生体価格0円・諸費用のみ」という形になっていることがあります。ただし、その裏には、
- ワクチン代やマイクロチップ登録料
- ペット保険の加入
- フードやケア用品の定期購入
などがセット条件になっていることも少なくありません。あとで「こんなにかかると思わなかった…」とならないように、契約前にしっかり確認しておきましょう。
チェックしておきたいポイント
- 割引後の販売価格、または譲渡負担金の金額
- 別途必要な医療費・登録料などの内訳
- 保険やパック商品への加入義務の有無
- 譲渡後のサポートや相談窓口の有無
- 生体保証の内容(病気が見つかったときどうなるか)
ペットショップごとの売れ残り対応や費用の仕組みについては、たとえばクーアンドリクの譲渡犬になる理由と注意点をまとめた記事でも、具体例を交えながら解説しています。こうした情報も合わせて見ておくと、比較の目が養われていきますよ。
健康状態と生活歴をできるだけ詳しく聞く
ペットショップでの期間が長くなるほど、その子がどんな生活を送ってきたかが、今後の適応にも影響してきます。可能であれば、
- これまでにかかった病気やケガ、治療歴
- ワクチン接種歴、寄生虫予防の状況
- ごはんの種類や量、食欲の傾向
- トイレトレーニングの進み具合
- 他の犬や人との相性、怖がりやすいもの
などを、店員さんに具体的に聞いてみてください。「この子のことをちゃんと見てくれているかどうか」は、そのままお店の信頼度にもつながります。
保護団体や譲渡会経由で売れ残り・引退犬を迎える

ブリーダーで売れ残った犬や引退犬、ペットショップの売れ残りは、保護団体に引き取られて保護犬として里親募集されることも多いです。このルートの大きな特徴は、犬の性格や生活歴を詳しく教えてもらえること。そして、トライアル期間を通じて「本当に自分たちと合うか」を確かめやすいことです。
譲渡会では実際の相性を確認できる
譲渡会に参加すると、さまざまな背景を持つ保護犬と直接会うことができます。ブリーダーの売れ残り犬もいれば、多頭飼育崩壊からレスキューされた子、元の飼い主さんの事情で手放された子など、本当にいろいろです。
写真だけだと「どの子もかわいくて選べない…」となりがちですが、実際に会ってみると、
- 目が合ったときの反応
- 近づいてき方(グイグイ来るのか、そっと寄ってくるのか)
- 他の犬との距離感
など、「あ、この子とは合いそうだな」と感じるポイントが見えてきます。逆に、気になっていた子が思っていたより怖がりだったり、あなたのご家庭の生活スタイルとは合わなそうだと分かることもありますが、それも大事な情報です。
アンケートや自宅訪問は「審査」だけではない
保護団体経由の里親募集では、
- 事前アンケートの記入
- オンラインまたは対面での面談
- 必要に応じた自宅訪問
といったプロセスを経ることがほとんどです。最初は「試験を受けているみたいで緊張する…」と感じるかもしれませんが、これはあなたを落とすためではなく、
- その犬の性格や過去の経験
- あなたの生活スタイルや住環境
をすり合わせて、ミスマッチを防ぐためのプロセスです。団体側も、「どの犬も絶対に返ってきてほしくない」「できる限り最後の家族になってほしい」という思いで動いているので、少し丁寧なくらいの確認をしているんですね。
保護団体ルートのメリット
- 性格・医療情報を事前に丁寧に教えてもらえる
- トライアル期間を設けてもらえることが多い
- 譲渡後も相談に乗ってもらいやすい
- ブリーダーの売れ残り犬かどうか、背景も確認しやすい
トライアルについて学んでおくと安心
保護犬のトライアルでよくある失敗パターンや心構えについては、保護犬トライアルの失敗理由と事前対策をまとめた記事も、売れ残り犬を迎える前に一度読んでおくと役立つと思います。「うちには合わなかった」を減らすためにできる準備を、事前に知っておくのは本当に大事ですよ。
ブリーダーに直接相談して売れ残りや引退犬を迎える

ブリーダーの元にいる犬の売れ残りや引退犬を直接迎える方法もあります。最近は、ブリーダー自身がホームページやSNSで「新しい家族を募集しています」と成長した子や引退犬を紹介しているケースも増えてきました。気になる犬種やブリーダーがいる場合は、このルートもぜひ検討してみてほしいところです。
問い合わせから見学までの流れ
気になるブリーダーを見つけたら、
- どの子に興味があるか
- 家族構成や住まいの環境
- 留守時間やこれからの生活のイメージ
などを簡単に自己紹介しつつ、見学や面談の希望を伝えてみてください。メールや問い合わせフォームで丁寧に書くと、ブリーダー側もあなたの本気度を感じやすくなります。
その際に、
- なぜその犬が売れ残ったのか(単にタイミングなのか、何か理由があるのか)
- なぜ引退させるのか(健康上の理由か、年齢によるものか)
- これまでどのような環境で生活してきたか(ケージ中心か、フリー時間はあったか)
といったポイントも、遠慮せず質問して大丈夫です。むしろ、こうした質問にきちんと答えてくれるかどうかが、そのブリーダーの誠実さを見極めるうえで大きなヒントになります。
里親募集サイトや掲示板を使うときの注意点
里親募集サイトや地域掲示板などで「ブリーダーから犬の売れ残りを譲ります」「成犬の里親募集」などの情報を見ることもあると思います。この場合は特に、
- 掲載者が個人か、ブリーダーか、保護団体か
- 医療情報(ワクチン・避妊去勢・検査結果など)が明示されているか
- 譲渡条件がおかしくないか(極端にゆるい・極端に厳しい)
をチェックしてください。医療情報がまったく書かれていなかったり、「ワクチン済みです」の一言だけで証明書の提示がない場合は、少し慎重になったほうが安心です。
怪しいケースの例
- 連絡先がはっきりしない、やたらと急かしてくる
- 「子犬譲ります無料」などの言葉で引き寄せつつ医療情報が一切ない
- 不自然に多くの犬を常に掲載している個人アカウント
こうしたケースは、表向きは里親募集でも、実質的には業者的な取引や引き取りビジネスの一部になっている可能性もあります。違和感を覚えたら、無理に進めず距離を置くことも大切です。「この子じゃないとダメ」と思い込みすぎず、「ご縁があればまた別の形で出会えるかも」と少し肩の力を抜いて考えてもらえたらなと思います。
売れ残りや引退犬を迎えるメリット

ここまで読むと、「売れ残りや引退犬って、いろいろ気をつけないといけないことが多そう…」という印象を持ったかもしれません。でも、ブリーダーやペットショップで売れ残った犬、引退犬を迎えることには、ポジティブな面も本当にたくさんあります。この章では、そのメリットを改めて整理していきますね。
性格や体格がイメージしやすい
多くの売れ残り犬は、生後半年〜1歳前後、引退犬なら中〜高齢です。子犬と違って、
- おおよその体格が見えている(成犬時のサイズのイメージがつきやすい)
- 性格の方向性(慎重・甘えん坊・マイペースなど)が分かる
- 生活リズムがある程度できていることが多い
といったメリットがあります。「小さな子犬のつもりで迎えたら、大型犬並みに成長してびっくり」といったギャップが起こりにくいのは、特に初めての方にとって安心材料になると思います。
子犬期の大変な部分をある程度クリアしていることも
もちろん個体差はありますが、ブリーダーやショップで一定期間生活している分、
- トイレの間隔が長くなっている
- 夜泣きが少ない、またはすでに落ち着いている
- ある程度、人や他の犬に慣れている
といった子も多いです。子犬特有の「何でもかじる」「とにかく動き回る」といった時期を卒業している分、生活のイメージがしやすいのも特徴です。「子犬から育てるのは大変そう」「仕事で日中留守にしがち」というあなたには、むしろ売れ残り犬や成犬のほうが合っているケースもよくあります。
命をつなぐ社会的な意味
ブリーダーで売れ残った犬を迎えることは、一つの命を直接つなぐ選択でもあります。あなたが一匹を迎えることで、
- 保護団体やショップのスペースに余裕が生まれる
- 次に救われる命の受け皿が増える
といった形で、目の前の一匹だけでなく、もう一歩広い意味での「支え」にもつながっていきます。大げさに聞こえるかもしれませんが、実際に現場では「一匹決まると、もう一匹救える」という状況が日常的に起きているんですよ。
私が伝えたいこと
売れ残りという言葉だけ聞くとネガティブに感じるかもしれませんが、実際には家庭犬としてすごく魅力的な子がたくさんいるのが現場の実感です。「ちょっと控えめで自己アピールが苦手」「最初は緊張しちゃうタイプ」など、人間だったら普通にいそうな性格の子たちが、たまたま選ばれずに残っているだけ、ということも本当に多いです。ラベルではなく、その子自身の性格や表情を見てあげてほしいなと思っています。
売れ残り犬を迎えるときの注意点と費用の考え方

一方で、ブリーダーやペットショップで売れ残った犬を迎えるときに、必ず意識しておきたい注意点もあります。「安く迎えられるからお得」とだけ考えてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」となりかねません。この章では、健康面・しつけ・費用の3つの視点から整理していきます。
健康状態は必ず獣医師にもチェックしてもらう
ショップやブリーダーから渡される健康診断書やワクチン証明書は、とても大事な資料です。ただ、それだけで安心せず、お迎え後には必ず自分で動物病院に連れていき、獣医師の目でもう一度チェックしてもらうことをおすすめします。
- 心臓・関節・目・耳などの状態
- 先天性疾患の有無やリスク
- 寄生虫や感染症のチェック
などは、犬種や背景によってリスクの出方も違うため、プロの判断がとても重要です。「ちょっと気になるけど、様子を見ればいいかな」と放置してしまうと、後で大きな治療が必要になることもあります。気になることは、最初の診察のときにどんどん質問してしまって大丈夫です。
しつけや社会化に時間がかかる子もいる
長くケージ中心の生活だった子は、
- 家の中の階段やフローリングを怖がる
- 外の音や車、人の気配に過敏に反応する
- 他の犬と遊んだ経験が少なく、距離感が分からない
など、家庭生活に慣れるまで時間が必要なことがあります。これは決して「ダメな子」という意味ではなく、「初めて見る世界に戸惑っているだけ」のことがほとんどです。
焦らず、
- 静かな環境で少しずつ経験を積ませる
- 怖くない経験とごほうびをセットにしてあげる
- 必要に応じてしつけ教室やトレーナーに相談する
といったステップで、ゆっくり世界を広げていきましょう。「最初の数週間はできなくて当たり前」くらいの気持ちで構えておくと、あなたの心も少しラクになると思います。
生涯コストをざっくりイメージしておく
売れ残りや引退犬は、最初に支払う金額が安かったり、譲渡負担金だけで迎えられることもあります。ただし、その後のフード代や定期的な予防医療、トリミング代、万が一の病気やケガの治療費など、生涯のトータルコストは一般的な犬と変わりません。
年間費用の目安イメージ(あくまで一般的な例)
| 項目 | 小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
|---|---|---|---|
| フード・おやつ | 約5〜7万円/年 | 約7〜10万円/年 | 約10〜15万円/年 |
| 予防接種・フィラリア予防など | 約2〜4万円/年 | 約3〜5万円/年 | 約3〜6万円/年 |
| トリミング・シャンプー | 約3〜6万円/年 | 約2〜5万円/年 | 犬種による |
| その他日用品・医療費など | 数万円〜 | 数万円〜 | 数万円〜 |
※金額はあくまで一般的な目安です。犬種や地域、体質によって大きく前後します。
費用についての大事な話
ここでお話ししている金額感やリスクはあくまで一般的な目安なので、正確な料金や補償内容は、必ず各ショップ・保護団体・保険会社などの公式情報を確認してください。特に医療費は個体差が大きく、「全然病院にかからない子」もいれば、「若いころから定期的な治療が必要な子」もいます。個別の体調や医療判断については、最終的には獣医師など専門家に相談したうえで決めるのがおすすめです。
ブリーダーから犬の売れ残りを迎える前に考えてほしいこと

最後に、ブリーダーから犬の売れ残りを迎えたいと考えているあなたに、ぜひ一度立ち止まって考えてほしいポイントをまとめます。ここは少し厳しめのことも書きますが、あなたと犬の両方が幸せになるために、すごく大事な部分だと思っています。
「かわいそうだから」だけで決めない
売れ残りや保護犬の背景を知ると、「この子を助けたい」という気持ちが強くなるのは、とても自然なことです。ただ、「助けたい」だけで迎えてしまうと、自分も犬も苦しくなってしまうケースもあります。
大切なのは、
- 今の生活スタイルで、本当に適切なケアが続けられるか
- 10年以上先のシニア期まで見据えて一緒にいられるか
- 家族全員が同じ方向を向いているか
といった視点です。「仕事がもっと忙しくなったら?」「自分や家族が病気になったら?」「引っ越しや家族構成の変化があったら?」など、ちょっと先の未来もイメージしてみてください。それでも「それでも、この子と暮らしたい」と思えたなら、そのご縁はきっと本物だと思います。
終生飼養とライフプランをセットで考える
ブリーダーの元にいる売れ残りの犬を迎えるということは、その子の「これからの人生(犬生)」をまるごと引き受けるということです。成犬を迎える場合は、残りの寿命が10年弱かもしれませんし、引退犬なら、シニア期のケアがすぐに必要になるかもしれません。
自分自身の年齢や仕事、転勤や結婚・出産、親の介護など、将来のライフイベントをざっくりとイメージしたうえで、最後まで一緒にいられるかどうかを考えてみてください。「何歳のときに、この子は何歳になっているだろう?」と逆算してみるのもおすすめです。
ブリーダーから犬の売れ残りを迎えたい人へのまとめ

ブリーダーから犬の売れ残りを迎えたい、ブリーダーの元にいる売れ残りや引退犬の里親になりたい、そんなふうに考えているあなたは、きっと動物に対してとても優しい人だと思います。その気持ちは、何より大切なスタートラインです。
一方で、売れ残りや保護犬の世界は、感情だけでは語りきれない現実もたくさん抱えています。ブリーダーの繁殖の仕組み、ペットショップの売れ残り対応、引き取り業者や殺処分の問題、保護団体や譲渡会のルールなどを知ったうえで、
- どのルートから迎えるのが、自分にとって現実的か
- どんな子なら、自分の生活と無理なくマッチしそうか
を冷静に考えてみてほしいなと思います。「売れ残りだから」ではなく、「この子と一緒に生きていきたいかどうか」で選べると、後悔の少ないお迎えになるはずです。
この記事の内容はあくまで一般的な情報と、私自身が取材や経験を通して感じてきたことをまとめたものです。具体的な譲渡条件や費用、医療内容は団体やショップごとに違いますし、制度や法律も変わることがあります。最終的な判断は、必ず各団体・ショップ・自治体などの公式情報を確認し、不安な点は獣医師や専門家に相談したうえで行ってください。
それでも、「この子と一緒に歩いていきたい」と思えたとき、その出会いはきっと特別なものになります。あなたと、これから出会うわんちゃんとのご縁が、やさしいものでありますように。

